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経済

KDDIを蝕む専制支配

相次ぐ「失策」で漂う無力感

2012年8月号

 二〇一〇年十二月にKDDI社長に就任した田中孝司氏。携帯事業未経験という経歴ゆえにその先行きが危ぶまれた当初の予想を覆し、昨年ソフトバンクの独占だった米アップルのiPhone販売権を獲得するなど上り調子だ。それに乗じて、いまや小野寺正前社長(現会長)顔負けの専制支配を強めているといわれている。だが、ここにきて相次ぐ「失策」ともあいまって、社内の不協和音はにわかに高まっている。 「KDDIは周波数対策で完全な失策を犯した」  こう話すのはある総務省幹部だ。携帯電話向けに割り当てる新しい周波数、七〇〇メガヘルツ帯について、川端達夫総務相は六月二十八日、NTTドコモ、KDDI、イー・アクセスの三社に事業計画の認定書を交付した。三社は二〇一五年に次世代高速通信規格「LTE」対応サービスを開始する。スマートフォンの普及でだれもがデータ通信を日常的に使うようになったため、電波周波数の確保は喫緊の課題になっている。  携帯電話回線のパンクを防ぐために国が新たに開設した新周波数帯はこのほかに九〇〇メガ帯があり、すでにソフトバンクモバイルへの交付が始まっている。もともと周波数割り当てで後・・・