三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

「LIBOR騒動」に戦く三菱UFJ

間近に迫る捜査の網

2012年8月号

 世界の金融業界を揺るがしているロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作問題を巡る余波が、いよいよ日本にも及びそうだ。  最悪の場合、被害規模は金融史の中で空前のものとなりかねないとの臆測が広がる一方で、事件の発覚から数カ月が経過した現在ですら、その実態はつまびらかではない。  そうした中、海外の金融当局が捜査に乗り出し、これを受け日本の金融庁も実態調査を進める意向を示しているが、その動きに戦々恐々としていると伝わるのが、ほかならぬ三菱UFJフィナンシャル・グループだ。

行内に敷かれる「箝口令」

「実は、実情は全く分かっていないんですよ」  ある大手邦銀の幹部は、困惑しきった顔つきでこう切り出した。直接、間接に大手邦銀もLIBORベースの金融取引を行っているが、ロンドンでの事件発覚以来、各邦銀内でも情報は厳しく管理・統制されているからだ。その背景にあるのは、金融庁の存在だ。  震源地のロンドンにおける事件の実情もさることながら、わが国でLIBORベースの取引がどの程度の規模に達しているのかという統計すら存在しない中で、同・・・