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経済

まやかしの「発送電分離」

東電と経産省がしてやったり

2012年8月号

 国民に開かれた電力システムを目指して―。経済産業省の電力システム改革専門委員会が七月十三日にまとめた「電力システム改革の基本方針」の副題だ。基本方針が掲げた「発送電分離」と「小売全面自由化の実現」という二枚看板は、あたかも電力会社の全面降伏と世論の勝利を表すかのようにみえる。  しかし、その内容をつぶさに検証していけば、基本方針の結末は決して「国民に開かれた電力システム」には行き着かない。この基本方針に沿って改革を進める限り、電力会社は未来永劫生き残り、国民の目を欺き続けるだろう。

二案併記でお茶を濁す

「これだけ電力会社が悪者扱いされる中で、最悪の事態を回避できた。うまく書けている」  ある電力会社幹部がこう感想を漏らすのは、基本方針の発送電分離に関する表現だ。基本方針は発送電分離について「全国大の広域的なネットワークを整備し、差別のない公平で自由な電力プラットフォームを国民に提供する」と明記。長年、地域独占の温床と批判されていた発送電一貫体制に切り込み、国民が期待する発送電分離に踏み出すかのようにみえたが、内実は見事に「逆」だっ・・・