《クローズ・アップ》斉藤 惇(東京証券取引所グループ社長)
日本取引所発足へ手腕問われる
2012年8月号
七月五日に公正取引委員会の承認を受け、取引所統合に向けた東京証券取引所グループによる大阪証券取引所の株式公開買い付け(TOB)が、最終期限である八月二十二日に向けて粛々と進んでいる。このTOBにより、来年一月に発足する「日本取引所グループ」のトップには東証の斉藤惇社長が就くことがほぼ確定的となった。世界の証券取引所上場企業時価総額では、NYSEユーロネクスト傘下の米ニューヨーク証券取引所に次ぐ規模となる日本取引所グループだが、前途は視界不良だ。
日本取引所グループが斉藤トップの下で、最も危惧されているのがグローバル化の問題だ。斉藤氏は野村證券、住友ライフ・インベストメントを経て、二〇〇七年に清算された産業再生機構のトップから同年に東京証券取引所グループの初代社長に就任した。その年の一月に東証はNYSEユーロネクスト(ニューヨーク証券取引所)と包括的な業務提携を締結したが、具体的な成果は今日まで見当たらない。また、結果的にご破算となったが、一〇年十月には東証が大株主となっているシンガポール取引所(SGX)によるオーストラリア証券取引所買収案が浮上。すると「面白く・・・
日本取引所グループが斉藤トップの下で、最も危惧されているのがグローバル化の問題だ。斉藤氏は野村證券、住友ライフ・インベストメントを経て、二〇〇七年に清算された産業再生機構のトップから同年に東京証券取引所グループの初代社長に就任した。その年の一月に東証はNYSEユーロネクスト(ニューヨーク証券取引所)と包括的な業務提携を締結したが、具体的な成果は今日まで見当たらない。また、結果的にご破算となったが、一〇年十月には東証が大株主となっているシンガポール取引所(SGX)によるオーストラリア証券取引所買収案が浮上。すると「面白く・・・