商品市場に群がる投機マネー
ユーロキャリー取引で資金は潤沢
2012年8月号
「いまや、ユーロのキャリー取引をしていないマネジャーなんていない。ドイツは相変わらず抜本的な対策に乗り出す気配はない。ユーロ安のおかげで最近ドイツは不動産価格が急騰するほど景気がいい。ユーロ安さまさまなのは、こっちもドイツも同じだ」
ユーロは結局、対ドルで一ドル=一ユーロまで下落するから、それまではしばらく売り続けられる―というのが米系ヘッジファンド主流派の見立てである。そうした状況下では、「キャリー取引のための資金調達通貨としては世界中でユーロ以外に考えられない」と大手ヘッジファンドのマネジャーは断言する。
それもそうだろう。七月五日、欧州中央銀行(ECB)は過去最低の〇・七五%への利下げを発表。それと同時に、ユーロ圏の各銀行がECBに預金する場合の金利を〇・二五%からゼロへと引き下げ、日米の中央銀行と同様の低金利政策を打ち出した。
これで運用先を失った投機資金は、一時的に日米の国債に流入している。同時に米国の干ばつ被害を材料に大豆、トウモロコシ、小麦が買い上げられているのは、ご存じの通り。「天候次第だが、長期予報ではまだ雨は降りそうにないので、上げ相場が続くだろ・・・