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政治

膨張「内閣官房」が機能不全

「決められない政治」の元凶

2012年8月号

「内閣官房」の機能が膨張している。過去の政権が取り組んだプロジェクト・チームを整理せぬまま継続してきた弊害に加え、民主党政権発足直後に掲げていた「政治主導」の名のもとにさらに組織が林立され続けてきた。結果として、「決められない政治」の元凶となり、官僚の跋扈を許す土壌をも作ってきた。 「官邸の電話交換手が悲鳴を上げている。官房のポストが増え過ぎて、幹部クラスだけで百人以上に膨らんだからだ」  官邸関係者の一人は、冗談のようだが笑えぬ話だと指摘する。正確に言えば、全員が官邸に出入りしているわけではない。内閣官房は、その機能の一部を首相官邸内部に持つため、慣例的に「官邸」「首相官邸」と表現されるが、本体は、官邸と道を挟んだ場所に立つ古ぼけた庁舎にある。また、多くの「○○対策室」は霞が関に散らばって存在する。  二〇〇〇年に中央省庁が一府十二省庁体制に再編された時点で、内閣官房の定員は三百七十七人だったが、一二年現在は八百七人に増加している。さらに問題は、他省庁との併任ポストが同期間に四百四十五人から一気に一千五百二十四人に膨らんだことだ。

「横割り行政」の無責任

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