《土着権力の研究》山口県 サンデン交通
自民王国を支える「政商」林一族の拠点
2012年8月号
県庁所在地の山口市以上の人口を有する山口県最大の経済都市の下関市で、長年にわたって地元経済界に隠然たる影響力を及ぼしてきたのが、運輸事業を中核に十九社を傘下に収める企業グループである「サンデン交通」だ。現在、自民党内で「次期首相候補」として頭角を現しつつある林芳正参院議員の出身・支援母体でもある。同社の前取締役会長は元自民党衆院議員で林氏の父の義郎氏、現・取締役会長は義郎氏の実弟、孝介氏が務めるという典型的な同族支配のグループ企業であり、「政商」という性格も併せ持つ。
現会長の孝介氏は、元山口県商工会議所会頭で、下関市商工会議所の会頭を十五年も務めている。しかし、下関市をはじめとする山口県内の経済は低迷、市の人口も三十二万人台(一九七五~八七年)から二十八万一千三百七十一人(六月末現在)に減少し、商店街にシャッター通りが増えるなど惨憺たる状況だ。そのため、県経済界のトップとして孝介会頭の資質に疑問を呈する声は少なくない。
「サンデン交通は下関市から多額の補助金をもらい、実質的な『市営交通』として存在している。自ら率いる企業を補助金漬・・・