未だ続く「核闇市場」の脅威
北朝鮮・旧ソ連・パキスタンへの疑惑
2012年8月号
「核の闇市場は現在も存在し、世界の脅威となっている」
モスクワ在住で、中央アジア情勢などの取材を続けるロシア人ジャーナリストはこう断言する。
二〇〇四年、明るみに出たパキスタンのカーン博士を中心とした核闇市場が世界を震撼させたことは記憶に新しい。しかし、その残滓や全く違った形での核物質・技術の移転は隠然と行われており、米国はもちろん、国際社会はその全貌をつかみきれないまま危機に晒されている。
国際原子力機関(IAEA)は、「核物質流通データベース」において、IAEA加盟国も含め、そういった核物質を取引する市場が存在することを認めている。また、オーストリアの大学研究機関はより具体的に、ロシアからトルコに至る核物質ネットワークの存在について警鐘を鳴らしている。