印「ガンジー家支配」に高まる不満
経済悪化に苦しむ民衆の冷めた視線
2012年8月号
「私を支援してくれた皆に感謝する」
大統領選挙で当選が決まった七月二十二日、プラナブ・ムカジー新大統領はこう述べた。インドの大統領は儀礼的な名誉職に近く、財務相から大統領への「栄転」は異例中の異例だ。首相候補にもなっていた人物とあれば尚更である。大統領選はガンジー家による体のいい「ムカジー更迭」にほかならない。なぜ今、このタイミングで実力者であるムカジーが閑職に追いやられたのか。影の首相とも呼ばれる国民会議派総裁ソニア・ガンジーのシナリオを読み解くカギは、「待ったなしの経済」と「息子ラフル」にある。