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アフリカの「ダイヤ利権」漁る中国

独裁国家の資源で「ぼろ儲け」

2012年8月号

 女性の指先や首元で光輝くダイヤモンドの購入代金は、巡り巡ってアフリカ西部シエラレオネの武装勢力に還流している……。二〇〇六(日本公開〇七)年に公開されたレオナルド・ディカプリオ主演のハリウッド映画『ブラッド・ダイヤモンド』は、そんな衝撃的な事実を世に知らしめた作品だった。  一九九〇年代に猖獗を極めたシエラレオネ内戦では、武装勢力支配下の鉱山で採掘された「血のダイヤ(紛争ダイヤ)」が問題となった。国連やダイヤ業界が南アフリカのダイヤ鉱山の町キンバリーで対策を協議した結果、原産地証明書のない原石を市場から締め出す制度「キンバリー・プロセス」が〇二年に発足し、九〇年代に市場に流通する原石の一五%を占めていた「血のダイヤ」は、〇六年に一%未満にまで減った。  だが、キンバリー・プロセスは今、崩壊の瀬戸際にある。舞台はムガベ大統領の独裁政治が続くアフリカ南部のジンバブエだ。ダイヤ鉱山は首都ハラレの南東約三百キロのマランゲ地区にあり、〇六年六月から採掘されている。

軍関係者の資金源

 ジンバブエは現在、ムガベ大統領率いる「ジンバブエ・アフリカ・・・