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シリア内戦は止めようがない

「アサド後」も憎悪は連鎖する

2012年8月号

 中東において「私兵」の歴史は古い。それは近代以前には、奴隷や隷属民、親衛隊といったスルタンの「恣意的権力」や「恩寵」が直接及ぶ者によって担われてきた。またよく知られているのは、十九世紀末にオスマン帝国の専制君主アブドゥルハミド二世の統治下において「ハミディーエ」と呼ばれた非正規軍だ。狂信的なイスラム教育を施されたこの青年の軍団は、わずかな報酬を見返りに、犠牲者八万~三十万人とされる第一次アルメニア人虐殺事件を担った張本人だ。そして現在、シリア各地で暴れ回り、各国メディアを騒がせているのが、「シャッビーハ」(体制派民兵や無法者の意)だ。  特に都市部のデモ隊に対する無差別発砲や農村部でのおぞましい虐殺事件には、政府軍とともに必ずこの「民兵」が関わってきた。概して身長は百七十~百八十センチメートル台。腕や足の太さ、胸板の厚さ、腹回りは通常の成人男性の倍以上はある。頭は短髪かスキンヘッド、無精髭を生やしている者も少なくない。筆者も「アラブの春」以前に何度か見たことがあるが、ズボンとパンツの間にぞんざいにつっこまれた拳銃が不気味に見え隠れしていたことを思い出す。

既に「暴力中毒」

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