同胞団を「庇護」するカタール
湾岸君主国家の中の異色
2012年8月号
湾岸協力会議(GCC)を組織するペルシャ湾岸の産油国は、君主制であることや、エネルギー資源に依存した財政構造など共通点が多い。このため、ともすれば、これらの国々の政治・外交は同一視されがちであるが、同じ親から生まれても兄弟の性格が大きく異なるように、これら諸国もまた、大いに異なる個性を発揮している。
「ムスリム同胞団員から、一千五百件以上の暗殺脅迫を受けた」と述べて、同胞団勢力の伸張に警鐘を鳴らしているのは、湾岸で最も欧米寄りの国づくりをしているドバイのハルファン警察長官だ。警察長官がそのような脅迫を受けている理由は、彼自身が六月にツイッターでエジプトのムルシ大統領就任を批判したことにあるのだが、ハルファン長官は、「湾岸諸国のムスリム同胞団細胞が、二〇一六年までに諸国の体制を転覆させる計画を有しているとの情報を摑んでいる」と警告する。したがって、イスラム過激主義者を自国内で厳しく取り締まることはもちろんのこと、他のアラブ諸国もその危険性について再認識すべきと呼びかけているのである。
「同胞団出身の大統領を選出したことはエジプト国民の『間違った選択』であり、重・・・