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WORLD

「マフィア国家」と化すロシア

「巨額公金」を壟断するプーチン一派

2012年8月号

 ロシア極東ウラジオストクで九月に、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が開かれる。プーチン大統領は世界の首脳に、自慢のプロジェクトを大得意で紹介することになるが、地元からは「見かけ倒しの祭典」との批判が上がっている。業者に公共事業をばらまいただけの、腐敗と汚職の象徴になるのは確実で、虚飾の宴は二〇一四年のソチ冬季オリンピック、一八年のサッカー・ワールドカップでも続きそうだ。

開発費は政権中枢に還流

 その発言は、海外では全く無視された。メドベージェフ首相が七月、APECの看板となる「ルースキー島連絡橋」の上で、「ウラジオストクとサンフランシスコは似ているが、ウラジオストクのほうがいい」と述べたのだ。全米有数の豊かさを誇り、周囲にシリコンバレーやワイン銘醸地を抱えるサンフランシスコと、電力も満足に供給できないロシア極東の港町を比べるのは、無理がある。ロシア通信でさえ、「過去にはソ連のフルシチョフ(共産党第一書記)も同様の発言をした」と、発言の的外れぶりを揶揄した。 「ここは水も電気も仕事もなく、人口流出が止まらない。マフィアと一握・・・