ユーロ危機の「主犯」ドイツ銀行
欧州金融界を牛耳り「荒稼ぎ」
2012年8月号
ユーロ危機で揺れるヨーロッパで、銀行批判が強まっている。中でも、資産総額で欧州最大のドイツ銀行は、対ギリシャ融資を主導して危機の源を作ったばかりか、メルケル政権に強い影響力を持って、危機対策を誘導した。まさに「陰の主犯」と言うべき存在で、今後も注視が必要だ。
今年六月、戯曲「ハムレット」の舞台とされるデンマークのクロンボー城に、世界中の銀行幹部約五百人が集まった。世界遺産を借り切ってのパーティーは、銀行のロビー団体「国際金融協会(IIF)」の会長を長年務めたヨゼフ・アッカーマン前ドイツ銀行CEO(最高経営責任者)のお別れイベント。アッカーマンは六月でドイツ銀行を退任したのに伴い、IIFトップも退いた。欧州最強バンカーが主賓とあって、会場、酒食はもちろん、アトラクションにもニューヨークのメトロポリタン歌劇場のスター歌手を招いて贅を尽くした。ユーロ危機などどこ吹く風の宴だった。
古城に駆けつけた欧州の銀行家には、アッカーマンに対して、この程度ではすまない義理があった。二〇〇九年末のギリシャ債務危機で始まったユーロ危機で、不良債権まみれの各行に、救済の道筋をつけたのが彼だか・・・