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WORLD

「中国包囲網」インド洋でも

米印豪との対立の構図鮮明に

2012年8月号

 日本を中心に据えた世界地図にはそれなりの便利性はあるものの、国際政治の大勢をこれを基に分析していていいだろうか。人口十三億人の中国と十二億人のインドが国民の生活水準を上げ、経済成長を続けていくときの食糧、エネルギー、その他の原材料は予見し得る将来にわたって中東とアフリカ大陸に依存しなければならない。中印両国は互いに相手を信じていない。原料を運ぶインド洋のシーレーン確保をめぐる両国の争いは激化しても鎮静化することは考えられまい。  両者の対立の中で米国はインドへの支援体制を着々と固めつつある。ロンドンのザ・タイムズ社が発行している『タイムズ世界地図帳』の中でもごく小さな扱いを受けているに過ぎないインド洋のど真ん中に位置する島々。米海・空軍基地ディエゴガルシア島に焦点を当てた地政学図を想定してほしい。パース(豪)、ダーウィン(豪)、東チモール、台湾海峡、インド、カブール、バーレーン、カタール、アデン(イエメン)、ソマリアを睨んだこの孤島はいま世界における最重要な基地として登場しつつある。米国のアジアへの復帰、わけても軍事的重点の「南方への移動」が何を意味するかは自ずから明らかではな・・・