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社会・文化

日本のスポーツはなぜ駄目なのか

八田秀雄(東京大学大学院教授)

2012年8月号

 ―五輪が始まりましたが、そもそも日本人はスポーツに向いていますか。
 八田
 多くの競技・種目が体格によって結果が左右されるということを考えれば、適性があまり高くないと言わざるを得ない。原始的なオリンピック種目である陸上競技などはその典型だろう。そして、ほとんどの球技種目もまた、体格によって大きなアドバンテージが生じる。こうした事実は、今回のオリンピック予選段階で負け続けた、バスケットボールや男子バレーボールの結果を見れば一目瞭然だろう。

 ―体格の差を補えませんか。
 八田
 かつてはできた。有名なクイックや時間差攻撃を駆使して世界を撃破したバレーボールの例がある。しかし、世界中が同じことをできる今、先天的要素で劣る日本が勝つのは難しくなっている。男子陸上の投擲代表選手である室伏広治や、ディーン元気は外国人の血が入っている。室伏の父親が活躍した時代は、四回転投擲という技術を極めることで食い下がった。戦術の分析や、技術要素の研究という努力は怠ってはいけないが、かつてほど劇的な効果は期待できない。

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