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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》日本貿易振興機構(JETRO)

海外で放蕩三昧の「無用の長物」

2012年7月号

 派手なパフォーマンスで世間から注目された割には、恥ずかしいほど羊頭狗肉の結果に終わった民主党の「事業仕分け」。その陰でにんまりとほくそ笑んだ省庁や傘下の独立行政法人は多い。日本貿易振興機構(JETRO、以下ジェトロ)もその一つだ。

 日本の基幹産業たる製造業の大勢が加工貿易から海外生産に切り替わった時点でジェトロの役割も本来終わったはず―だった。だが、経済産業省の庇護のもと、海外進出をはかる民間企業の「水先案内人」を自任し、「現地情報の収集」や「各国の経済環境分析」というもっともらしい任務を大義名分に掲げ、いまもアジア新興国への拠点網を拡充しながら、まんまと生き永らえている。

 しかし、日本企業の支援とは名ばかり、ジェトロ現地事務所の実態を聞けばあいた口が塞がらない。時代遅れの「親方日の丸」意識にどっぷりと浸かり、本業である現地情報の収集もそっちのけで、民間企業にたかって日夜酒食に耽る者あり、調査名目で自らの私腹を肥やす者あり……。日本からの厳しい監視の目が届かないのをいいことに、放蕩三昧の毎日を送っている・・・