《企業研究 》武田薬品工業
新薬不在で二兆円を無駄遣い
2012年7月号
神奈川県藤沢市と鎌倉市の住民らで構成する市民団体「武田問題対策連絡会」の関係者が憤る。
「抗議に行ったのに担当者は会いもせず、電話にも応対しなかった。本来なら市民のために使われるはずの固定資産税を五年間にわたって免除されるといった優遇措置を受けておきながら、一体何様のつもりか」
武田薬品工業の湘南研究所が遺伝子組み換え大腸菌やバキュロウイルス、サルモネラ菌などで汚染された廃液の漏出事故を引き起こしたのは昨年十一月末のこと。研究所の職員が排水滅菌槽の水道栓を閉め忘れ、約六時間にわたり槽内から汚染水計一立方メートルが溢れ出たのだ。
施設外への流出はなく、「(感染などの)危険度はそれほど高いものではなかった」(武田薬品幹部)とはいえ、この事故が地域住民らに与えた衝撃の大きさはそれこそ「計り知れないものがあった」(藤沢市関係者)という。
同研究所建設を巡っては、バイオハザードの恐怖や放射性および病原性実験排水・排気の大量放出などによる環境や生態系への悪影響を問題視して、計画当初から一部で強い不安と反対の声・・・