三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

業界の孤児と化すトヨタ

EVから目を背ける迷走経営

2012年7月号

 ガソリンエンジン車・ハイブリッド車(HV)陣営の一角が、ついに崩れた。二〇一二年六月六日、同年七月から日本と米国で発売するホンダ「フィットEV」の性能が米国環境保護庁(EPA)から発表され、自動車業界に衝撃が走った。すでに販売されている日産自動車の「リーフ」や三菱自動車の「i–MiEV」よりも環境性能で高い評価を得たからだ。エンジン技術への強いこだわりから、最後まで電気自動車(EV)とは一線を画すとみられていたホンダの「本気度」が明らかになっただけに、業界筋が驚いたのも無理はない。ホンダのEV参入により、国内大手メーカーでEVと距離を置いているのは、ついにトヨタ自動車だけになった。

「全く本気度が感じられない」

「新技術の本気度は、どのクラスの車両に実装するかによって分かる」と、自動車の技術開発に詳しい専門紙記者は話す。「生産台数が多い主力車に搭載すれば本気度が高く、マニアックな車両の搭載にとどまるなら実験的な取り組みにすぎない」。たとえばトヨタは、EVスポーツカーを手がけるベンチャーの米テスラモーターズと共同で、レクリエーショナル・・・