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経済

投機筋の次なる標的は中国

余波を受け日本も「売り」対象に

2012年7月号

「もう十一月には空売りとCDS取引の規制が始まる。何しろネイキッド・ショート(株式を確保せずに行う空売り)ができなくなるので痛い。ユーロへの仕掛けはご当局に敬意を表してお休みさ」  知人のヘッジファンドマネジャーはこう嘯く。スペインなどへの売り仕掛けは種として残るものの、そこでユーロ売りはほぼ終わりを迎えるというのだ。それでは、次なる「仕掛け」はどこか。筆者の問いに対する答えはこうだ。 「次はジム・チェイノスがずっと主張している中国だろうね。企業コンサルタントやウォール街の証券関係者がやっているのは、NY株式市場に上場している中国企業に空売りを浴びせた挙げ句、粉飾決算を言い立てて上場廃止に追い込む。最後は撤退手続きでガッポリと手数料を取って身ぐるみ剝がす。まあ結構稼いでいるよ」  現下の世界経済の変動はヘッジファンドの動きそれ自体が「材料」となって生み出されている。欧州危機で巨利を手にしたヘッジファンドが次なる儲けの「タネ」として中国に対して行う仕込みは、かねて破綻の危険性が指摘され続けてきた中国経済に加わる、極めて厄介な不安要素に違いない。

当面の「売り」は商品先物

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