「政界大再編」の序幕が上がった
ただし「解散」は先送りに
2012年7月号
六月二十六日午後の衆議院本会議場は奇妙な空気に包まれていた。民主党の分裂・崩壊劇がこの場で始まろうとしているのに緊張感が全くないのだ。本会議場には議員席を見下ろすように「コの字型」の記者席が設けられているが、その誰もが一点に視線を注いだ。議長席から見て右側最後列に座る民主党元代表小沢一郎だった。小沢は首相野田佳彦が政治生命を懸ける消費増税法案に真っ向から反対。新党結成も視野に野田と対峙してきた。野田も譲らず本会議での法案採決が雌雄決着の場となった。
結果は賛成三百六十三、反対九十六、棄権十五。民主党からは五十七人が反対票を投じた。そのほとんどが小沢グループからの造反だった。従来の小沢ならこのまま一気に新党結成に向かっていたはずだ。「剛腕伝説」も退路を断って勝負する小沢の行動から生まれた。ところが小沢は躊躇した。本会議終了後、記者会見した小沢は意外な言葉を口にした。
「近いうちに、どうするか決断しなくてはならない」
新党結成について口を濁したのである。小沢はこの日の採決を睨んで小沢グループの国会議員と連日のように会合を重ね、離党届まで提出させていた。結果も小沢の計算通り、・・・