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胡錦濤「院政」に向かう中国

「奇策」常務委員会七人制の内幕

2012年7月号

 六月十八、十九両日にメキシコ・ロスカボスで開かれた主要二十カ国・地域(G20)首脳会議。主役は中国の胡錦濤国家主席だった。BRICS五カ国首脳の集まりでも中心は胡錦濤で、大統領に復活したロシアのプーチンも一歩後ろに下がった形だった。  胡錦濤は今年の秋、習近平国家副主席に総書記を譲り、引退が決まっている。にもかかわらず存在感があるのは、胡錦濤時代は終わらず、これから院政が始まると見られているからだろう。  中国国内でも「胡温習李」という言葉が使われるようになった。胡錦濤総書記・温家宝首相から習近平総書記・李克強首相への権力移行が順調に進んでいるという意味だけではない。「胡」が最上位にある。秋の党大会の後は「胡習李」になることを暗示しているのだ。  薄熙来政治局委員の失脚によって、胡錦濤の反対勢力だった江沢民派と軍部に地滑り的な地殻変動が起きている。その隙を突いて、胡錦濤はどうやら院政の足場を固めたようだ。注目すべき二つの動きがある。一つは、胡錦濤の党中央軍事委員会主席任期の二年延長を軍にのませたとみられること。もう一つは、次の第十八期中央政治局常務委員会定数を九人から七・・・