中印の「ネパール争奪戦」が激化
軍拡競争が過熱の「ヒマラヤ戦線」
2012年7月号
「真珠の首飾り」と称される中国のインド洋進出と、これに対抗し、この地域への勢力維持を図ろうとするインドの確執が取りざたされている。両国のつばぜり合いは、アフリカのマダガスカルやセーシェル諸島にまで及んでいるが、もう一つ、「陸の戦線」として、ネパールが浮上している。
ネパールは、エベレストの麓に位置するアジアでも最悪レベルの貧困国だが、中国のチベット自治区とインド北東部に挟まれた戦略的な要衝だ。台湾と(最近では南シナ海も)並び、チベットを「核心的利益」と呼んできた中国共産党にとって、その先のネパールの安定は、チベットの安定統治に欠かせない。