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WORLD

ドイツが描くユーロ危機「戦略」

EU通じて加盟国支配着々と

2012年7月号

 六月十七日のギリシャ再選挙における緊縮財政派の勝利は、今後の欧州連合(EU)の方向性を確定する歴史的な意義を有するものであった。もしギリシャ国民が「ユーロ圏離脱」という選択肢に与していたならば、今後のEUの展開を予想することはほとんど不可能だっただろう。しかし、今やその選択肢は消滅し、「通貨同盟の恒久性」と「民主主義」の対立関係は終局的に解消した。そうである以上、EUが何らかの新たな方向性を模索しなければならない内在的必要性はもはやない。つまり、EUにおいては基本的に従来の方向性、すなわちドイツ主導による加盟国支配が強化されていくだろうということだ。

空恐ろしいドイツの政治力

 現在EUを取り巻く問題群は、大きく分けて三つある。第一は、緊急支援体制の問題だ。本誌昨年十一月号で詳論した欧州金融安定化ファシリティ(EFSF)、七月一日発足予定の欧州安定メカニズム(ESM)、スペイン支援問題、「ユーロ共同債」構想等はこの範疇の問題だ。国家破綻を避けるための当面の資金繰りという意味では緊急性はあるものの、結局のところ後から返済しなければならない借金であ・・・