中露「偽り」の蜜月
上下関係は完全に逆転
2012年7月号
米国が中央アジアと中東から大きく軸足をアジアに移行させつつあるのに対抗するかのように、中国とロシアは「中露戦略的パートナーシップの深化」を謳い上げてみせた。あくまでも対等の立場でのパートナーシップ深化を装っているが偽装は見え見えだ。オーストラリアの外交官時代から中露関係を分析し、現在ロンドンの欧州リフォーム研究所上級研究員であるボボ・ロ氏が六月八日付のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙に「便宜的パートナーシップ」と題して書いたとおりである。
「ダイナミックな中国と、近代化もせず政治的に硬直したロシアとの差が開いていることが最大の弱点だ。モスクワでは西側の衰退が話題になっているが、ロシアが脱工業化社会の要求に応じられぬうちに国の力が東側(中国)に大きく移っている。最大の被害国はロシアだろう」と。一六八九年に強大な帝政ロシアは清国との間に旧満州(中国東北部)の国境を黒龍江・外興安嶺の線に決めた(ネルチンスク条約)。その後の愛琿条約、北京条約へとロシアによる力の行使の跡を探ってみればいい。冷戦下で中ソ間に亀裂は生じたものの共産主義国圏内における主従の関係は続いていた。
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