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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》膨張する警察の「利権」

暴力団とパチンコがドル箱

2012年6月号

 安全・安心な社会――。警察が標榜する理想だ。一見、「人畜無害」なこの号令のもとで警察の利権が拡大し、ここにきて暴走している。

 警察官の再就職先といえば、古くは交通安全協会や、警備会社くらいしかなかった。しかし一九九〇年代以降、警察は民間企業にOBを送り込む手段と、その蜜の味を覚え、「植民地」を拡大してきた。

「暴力団排除条例は、その究極の着地点。根本的解決を先送りしながら、警察の利権を拡大できる最高の道具だ」
 警察取材の長い、全国紙社会部記者はこう語る。事実現場では、警察OBが引く手数多の様相を呈している。この路線を象徴的に示すのが、二十八万人余りの警察組織の首脳人事だ。現在の警察庁長官は二〇一一年十月に就いた片桐裕(七五年入庁)。一方の雄である警視総監は、樋口建史(七八年入庁・昨年八月就任)である。

 この二人はともに、警察庁で生活安全局長を務めた。本来警察における出世頭といえば、「警備公安畑」だった。警視総監にせよ、警察庁長官にせよ、過去に生安局長を務めた人物はほぼいない。しかも、それが同時にト・・・