《企業研究 》リコー
万策尽き「技術者切り」に邁進
2012年6月号
日本を代表する光学機器大手リコーが迷走を深めている。売上高、売上総利益ともに二〇〇八年三月期以降、五年間にわたって一度として上昇に転じることはなく、一二年三月期決算では四百四十五億円という初の最終赤字に転落した。
ものづくり大国・日本において、光学機器・精密機器産業は現在でも世界でトップの競争力を誇る数少ない市場だ。同市場大手のキヤノン、富士フイルムなどの業績がまがりなりにも回復基調を示すのとは対照的に、リコーは一向に凋落に歯止めがかからない。
リコーでは目先の財務内容を取り繕うために、ここにきて「将来の利益の源泉」ともいうべき優秀な技術者たちを切り捨てるに至っている。
リコー初の技術系社長として脚光を浴びた桜井正光前社長(現取締役会議長)のもとで、環境保全と利益創出を同時に実現する「環境経営」なる大風呂敷を広げ、一時は売上高も二兆円に届いた時期もあったが、明らかにその「限界」に突き当たった現在、水面下でその高邁な理念とはかけ離れた、陰湿かつ苛烈なリストラが繰り広げられている実態が伝わってくる。