トヨタ「V字回復」は無理
大風呂敷「営業利益一兆円」の背景
2012年6月号
二〇一二年五月九日、トヨタ自動車は一二年三月期決算会見で、次年度業績予想について「営業利益一兆円」という大風呂敷を広げてみせた。主に北米市場の販売回復と中国を中心とした新興国市場での増産を最大限当て込んだ目標だ。だが、ここにきて北米市場の不透明感や、誰の目にも明らかな「出遅れ」を挽回しようとする中国市場の減速、欧州金融危機の再燃といった逆風が強まっている。トヨタ社内でも発表直前まで「一兆円」という打ち上げ花火に対する懸念や慎重論も存在したという。かつて「石橋をたたいても渡らない」とまでいわれたトヨタが、なぜここまで大胆な業績予想を公表したのか。