フランスで発足したオランド政権は、大統領を筆頭に国立行政学院(ENA)卒業生(エナルク)が中枢を占め、フランス政治・経済のエナルク支配は、ますます強まった。フランス型のエリート養成校は日本でも信奉者が多いが、これこそ仏経済、さらには欧州経済停滞の元凶との指摘は増えている。
企業経営者としての資質に疑問
五月十七日発表の新閣僚名簿は、エナルク支配を一段と印象付けた。外相にローラン・ファビウス、経済財務貿易相にピエール・モスコビシ、労働雇用担当相にミシェル・サパンと、名うてのエナルクが、内閣の骨格を独占した。
「社会党のトップはマルティヌ・オブリ第一書記。六月の下院選挙後に下院議長を狙うセゴレーヌ・ロワイヤルとあわせ、エナルクは行政府、立法府、与党のすべてを握ることになる」と、在パリ政治記者。最高裁の役割を持つ国務院のトップ職、副長官(長官は首相が兼任)もエナルクだ。オランド大統領は、側近中の側近である大統領府長官と官房長に、自身の同期生二人を起用した。
ENAは、仏偉人の名を各年次に冠する。大統領の「ヴォルテール」(一九八〇年卒)・・・