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米欧金融界の新たな闇「ダークプール」

「私設カジノ」同然のサイバー株取引

2012年6月号

 米欧の市場で、「ダークプール」を介した取引が急増している。本来は大口投資家が、株価に影響されずに取引所外で株式を購入する場だったが、近年は手数料の安さや匿名性に惹かれて、超高速の電子取引や投機マネーの流入が進み、金融市場の不安要因になっている。在来の証券取引所を筆頭に、規制を求める声が高まってきた。

市場はいつでも操作可能に

 JPモルガン・チェースの「二十億ドル損失」のニュースに、ロンドン金融街では、「ダークプールか、デリバティブ(金融派生商品)か」と臆測が流れた。後に、自社開発のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が主因と分かった後も、臆測は続いた。 「ベテランでも不気味に思うので、『ダークプール=悪者』説が出る。私設のカジノと同じだから、どんな話が出ても不思議はない」と、在ロンドン金融筋が言う。  ダークプールは、正確には「ダークプールズ・オブ・リクイディティ(流動性)」。在来の証券取引所が、売買の気配から取引価格、取引高まで透明なのに対し、ダークプールは取引成立まで情報開示せず、文字通り暗闇の中だ。証券会社が店内で売買を突・・・