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WORLD

《世界のキーパーソン 》イーゴリ・シュワロフ(ロシア第一副首相)

「醜聞まみれ」のプーチンの忠臣

2012年6月号

 最近の国際会議では馴染みの顔だ。一昨年のワールドカップ(二〇一八年)開催地選考会議(スイス・チューリヒ)や、昨年の世界経済フォーラム(ダボス)で、流暢に英語を話す長身痩默が印象的だ。「元スパイぞろいのプーチン周辺には、あまりいないタイプ」と、在モスクワ記者が皮肉る。

 さわやかな能弁の下から、別の人格が時折顔をのぞかせる。W杯会議では、最後まで争ったイングランドのウィリアム王子に対して、目を合わさず傲慢な態度を取った。敗れたイングランドでは、「将来の国王に何たる無礼」「『マフィア』のお里が知れた」と大騒ぎになった。

 一九六七年、東シベリアの北極圏に作られたビリビノという、最果ての町で生まれた。その後モスクワに移り、モスクワ大学法学部を卒業。野心満々の青年は、七歳年上のオリガルヒ、アレクサンドル・マムートに見出された。エリツィン大統領一家に食い込んだマムートは、自分の法律事務所にシュワロフを雇い、狂乱の民営化時代の「ビジネス」を叩き込んだ。

 マムートは九七年、まだ三十歳のシュワロフを、ロシア国家資産の管理登録を扱う行・・・