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社会・文化

北海道新聞を揺さぶる元記者による「ベストセラー」

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2012年5月号公開

 札幌市内の書店で、軒並みベストセラーとなっているのが『真実~新聞が警察に跪いた日』(柏書房)だ。著者の高田昌幸氏は北海道新聞報道本部の元次長で、二〇〇三年秋からの「北海道警察裏金追及キャンペーン」を指揮した人物だ。同書では道警の反撃や、道警と道新の「裏取引」で道新が敗北する様を実名入りで詳述している。

 札幌の書店で開かれた高田氏らの出版イベントには道新記者、OBが多数参加したが、道新本体の無神経さは相変わらずで、ある編集局幹部は、文化部に対して「この本の紹介や書評は載せるな」と指示したとの話も漏れている。さらに「高田はいつまで正義面するつもりか」「道警との裏取引に関わった社員がかわいそう」という声まで出ている。

 そんな中、道新一面に同書の広告が掲載される椿事も起きた。「広告の人間は知りつつ、広告を通した」と言われ、正義感を持つ社員のうめきも漏れ伝わる。しかし、それは一部の話に過ぎない。
 道新と道警を巡っては昨秋、道警の元刑事が『恥さらし』を出版し、関係者を震撼させた(本誌一一年十一月号参照)。道新はその時も無視を決め込んだが、自らの恥部と向き合わぬ日本新聞協会副会長社自身が一番の「恥さらし」だ。


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