民自公が弄ぶ「選挙制度改革」
違憲状態を正さぬ「小田原評定」
2012年5月号
「二〇〇九年の前回衆院選の一票の格差(最大二・三倍)は違憲状態と言うべきであり、速やかに投票価値の平等という憲法の要請にかなう立法措置を講ずる必要がある」。最高裁がそう判決を下したのは昨年三月。抜本改正に踏み切らなければ、次は選挙無効、やり直しを命じる判決が出る可能性がある。イエローカードを突き付けられた与野党各党は大慌てで衆院選挙制度改革協議会を開き、最大格差を二倍以内に抑える方策を話し合ってきた。だが、小田原評定が続くばかりだ。設置法で「国勢調査が官報で公示された日から一年以内に小選挙区の改定案を勧告する」と定めた衆議院議員選挙区画定審議会が、法定期限の二月二十五日を過ぎても動き出せない状態が続いている。
立法府が違憲状態の上に違法状態も作り出している現状は異常としか言いようがない。国会で一体何が起きているのか。各党協議の舞台裏に分け入ると、キャスチングボートを握る公明党を選挙制度改革をえさに自陣営へ引き込もうとする民主党と、そうはさせじと民公接近阻止に躍起になる自民党、そして、濡れ手で粟の議席増を夢見る公明党の三極構図が浮かび上がってくる。