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政治

《政界スキャン》

「国を守る気概」いま何処

2012年5月号

 日本の安全保障は大丈夫なのだろうか、と考え込む。いまに始まったことではない。ずっと以前から多くの国民が憂慮し、その度合いは次第に強まっている。

 しかし、防衛・外交の両面で安全保障のレベルアップが進んだ形跡はなく、政治の舞台でも煮つめた議論にはいっこうにならない。無関心ではないが、実効があがらないのだ。背景に慢性的な平和ボケがある。

 民主党政権に移行してからは、安全保障上、寒心に堪えない事件が三つも続いて起きた。まず、鳩山政権下の普天間飛行場移設問題をめぐる信じがたい迷走だ。日米の軍事同盟関係がぎくしゃくする。

 二つ目は、菅政権下で起きた尖閣諸島沖の中国漁船体当たり事件とこれまた信じがたい逮捕した中国人船長の突然の釈放だった。中国側の理不尽な圧力に屈したのは歴然としていて、呑気な国民もさすがに、
「中国になめられた」
 と不満をつのらせたのだ。

 そして、今回の北朝鮮によるミサイル発射事件と野田政権の対応の信じがたい粗雑さである。かりに将来、北のミサイルが日本を狙う緊急事態・・・