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不穏な空気漂う人民解放軍

囁かれる「薄熙来事件」への関与

2012年5月号

 中国共産党の次期指導部入りが確実と見られていた薄熙来・重慶市党委員会書記の失脚は、妻の英国人殺害という猟奇的なスキャンダルに発展した。  だがそれに目を奪われて、人民解放軍を取り巻く「奇妙な動き」を見落としてはならない。薄熙来と同じ太子党の軍人たちの間に、薄熙来解任に反発する空気が強まっている。軍営の中では「気分はクーデター」と言えるほどの不穏な空気が漂っていた。

相次ぐ軍の「忠誠表明」

 四月上旬、党中央軍事委員会で制服組のトップに立つ郭伯雄副主席が四川省にある成都軍区司令部に「調査」の名目で乗り込んできた。副主席は「断固として党中央の決定を擁護し、思想を党中央の精神に統一せよ」と演説した。軍は党中央の指示に従えと命じている。まるで反乱軍に対する「警告」だ。  その後、郭副主席は全国の軍区を巡回するが、その皮切りが成都軍区だった。成都軍区は、四川、雲南、貴州、チベットの各軍区と重慶警備区を統括する。薄熙来事件の影響を直接受けている重要拠点にほかならない。前後して国防部長や各地の軍区、海軍空軍の政治委員が党中央への忠誠を誓う声明を次・・・