ミャンマー進出は「バラ色」か
国民の「権利意識」がネックに
2012年5月号
「六千万人の人口を抱えるアジア最後の未開拓市場」
早くも手垢がつきそうなミャンマーの枕詞だ。新聞や経済誌ではミャンマー進出についての記事が溢れている。経済界の熱い期待に応えるように、四月二十一日に国家元首としては二十八年ぶりに来日したテインセイン大統領を野田佳彦首相が歓迎、三千億円の債権放棄と、円借款の再開を約束した。
本当にミャンマーの民主化は順調に進むのか。現地で取材を続けるタイ在住ジャーナリストは「誰もわからない」と語る。予測できなかった速度で進む民主化の動きについて、懐疑的な声は今でもある。これをもって即ち「ミャンマー進出のリスク」とするのも議論が幼稚だ。あらゆる新興国、途上国には、制度的、政治的リスクが存在することは言うまでもない。
では果たして、ミャンマーは企業にとってそれほどまでに魅力ある場所なのか。そこを検証すると、もう一つの「リスク」が浮き彫りになる。