アサド政権は倒れない
ロシアがシリアを「死守」する
2012年5月号
シリアのアサド政権を支えている少数派、アラウィー教徒は大いに誤解されている。
国内に二百数十万人ほどいる彼らはイスラム教シーア派の一派であるという人がいる。そして、その論理的帰結として、現在起きている殺し合いは、彼らに抑圧されてきたスンニ派過激集団であるムスリム同胞団との宗派間の争いだ、といった奇妙な説にまで発展するのである。
シーア派、スンニ派という大きな概念・用語だけがひとり歩きする我が国では仕方のないことかもしれないが、このような珍説を口にするのが多くの場合、「自称」中東地域の専門家であったり、国際通で知られる「知識人」であるだけに始末が悪い。