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ドイツの命運握る「海賊党」

全欧州的広がりの「先駆」か

2012年5月号

「海賊党」をご存じだろうか。いまドイツの政治に激震を起こしている話題の政党だ。昨年から州選挙で快進撃を重ねており、来年の連邦議会選挙で「台風の目」となることはほぼ確実な情勢だ。現在、海賊党の支持率は一〇%強。新興政党としては異例の数字だ。与党連合も野党連合も今のところ過半数を制する見込みがない以上、メルケル政権の命運すら海賊党が左右する事態も十分に考えられる。一年前は名前すらほとんど知られていなかったこの政党が、僅かの期間にここまで急成長を遂げたのは一体なぜなのか。

右だか左だか分からない集団

 まずは、海賊党の主張を見てみよう。「海賊党」という名称の由来は、著作権法上の「海賊行為」だ。しかし、紛らわしいことに、海賊党が目指しているのは海賊行為(他人の著作物を無許諾で商業コピーして利益を得る行為)の合法化ではない。むしろ海賊党が目指しているのは、私的複製権の拡充とファイル交換の合法化だ。つまり、「著作権者に代わって金儲けをするわけではない以上、自由にコピーして交換してもいいじゃないか」という主張である。我が国でもP2Pソフトの研究開発者が逮捕・起・・・