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「ジリ貧」状態の米共和党

上下両院選でも「苦戦」の兆候

2012年5月号

 米大統領選と同時に十一月に行われる連邦議会選挙で、共和党苦戦の兆候が出始めた。大統領選と同様に、保守色の強い候補が台頭しているためだ。今年は十年に一度の国勢調査を受けて選挙区改変が行われる年に当たっているが、共和党は全米で共和党地盤を守る作業を優先させており、議席上乗せが難しい情勢だ。民主党には、ホワイトハウスと上下両院制覇の可能性も見えてきた。

保守傾斜で中道票を逃す恐れ

「保守」が目立つ近年の米選挙でも、ペンシルベニア州から下院入りを目指したエヴァン・フェインバーグ候補は別格だ。彼は、教育省など四省と環境保護局を廃止し、国連分担金の支払いもやめて、連邦予算を五分の一、約七千億ドル削ると公約する。  二十八歳の同候補は、保守的なキリスト教系の地元大学を出て、保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」で勤務した。予備選では、現職議員を「保守度が足りない」と攻撃し、二〇一〇年中間選挙で旋風を起こした「ティー・パーティー(茶会)」を彷彿させた。 「こんな超保守候補が出てくるのも、共和党の戦略の副産物だ。民主党としては大歓迎だ」と、ワシントン在住・・・