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WORLD

《世界のキーパーソン 》ミシェル・サパン(仏社会党政治家)

オランドが最も頼りにする経済通

2012年5月号

 フランスのエリート養成最高学府「国立行政学院」(ENA)は、入学年次ごとに偉人の名を冠する。一九八〇年の卒業生(エナルク)は、ヴォルテール。同期から、三人が国の最高権力者に手が届くところまで駆け上った。ドビルパン元首相、二〇〇七年の社会党大統領候補ロワイヤルと、今年の候補オランドである。ほかにも、保険大手アクサのCEO(最高経営責任者)ら政官財界に綺羅星のごとく人材がおり、「プロモ(同期)・ヴォルテール」といえば、「プロモの中のプロモ」として知られる。

 七〇年代の終わりに、この選良の園に「四銃士」と目された若者たちがいた。豪快に遊び、文学と政治を論じ、何よりも左翼がかっていた。ミッテラン政権誕生の一年前に卒業する彼らは、マルクス主義文献を渉猟し、万年与党の社会党に憧れた。四人の核がオランドとサパン。二歳年上のサパン(六十歳)は、軍務も、配属兵舎もオランドと一緒で、「彼はだらしがないから、よく助けてやった」(本人の弁)。オランドが七九年に社会党に入党したのも、その四年前に入党したサパンが勧めた。他の二人の銃士も後に政府高官となっている。

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