《日本のサンクチュアリ》在沖縄海兵隊
「移転」でも土地は返らず負担も減らず
2012年4月号
日米同盟の喉に突き刺さって久しい米軍普天間飛行場の県内移設問題。日米両政府は今年二月、普天間移設とパッケージで進めるとしてきた在沖縄海兵隊のグアム移転や沖縄本島中南部の米軍五施設・区域の返還を切り離す方針を表明し、野田政権はこれが普天間問題の膠着状態を打開する弾みになると力説した。だが再編見直しの内実は完全な「米国主導」で、普天間ばかりか、沖縄本島中南部の米軍五施設・区域が塩漬けになる可能性をもはらむ。密室の協議に見え隠れするのは虚構と欺瞞以外のなにものでもない。
「昨年十二月、私からクリントン米国務長官に『知恵を出してやっていきましょう』と提案した」。玄葉光一郎外相はパッケージを解いて、海兵隊のグアム移転を先行させる方針が自分の発案であったかのようにマスコミ各社に吹聴。そして「これまでの方針は沖縄に圧力をかけているようなやり方だった。膠着状況は今のままでは打開が難しいと判断した。嘉手納以南の米軍五施設・区域の返還や沖縄振興にも結び付く。日米同盟の深化に向けた大きな前進だ」と力説した。報道の大半も、この言葉をそのまま垂れ流してきた。
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