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社会・文化

「新耐震物件」でも倒壊の危険あり

大震災で被った見えないダメージ

2012年4月号

 東日本大震災から丸一年を迎えた三月。関東地方をはじめとして、大地震の再襲来を予感させるような不気味な揺れが何度か起きた。大地震に襲われた際、まず身の安全を確保しなければならない。ただし、屋内にいるときは、建物が揺れに耐えるという前提が必要だ。  本誌二〇一一年七月号で指摘した通り、日本中にある「既存不適格物件」の危険性は極めて高い。一九八一年六月の建築基準法施行例改正の前に建てられた建物の耐震性は低いが、その補強はおろか、検査すら進んでいない。では八一年以降に「新耐震基準」で建てられた建築物は果たして安全か。

状態がわからぬ「異常性」

「建物の被害は倒れたか、立っていたかのゼロかイチかというものではない。健全を保っているように見える建築物も内部にはダメージを被っている」  東日本大震災以後、被災地の建築物の被災診断などを行った建築士はこう語る。大きなひび割れや壁の崩落などがあれば、そのダメージは実感できる。しかし、表面的な変化がない建物の内部で何が起きたか。東北地方の被災地はもちろん、震度五強の揺れに襲われた関東の建築物にも見えない・・・