《企業研究》 シャープ
近づく「終焉の時」
2012年4月号
「赤字から逃げることが責任の取り方だとは思っていない。業績回復の筋道を立て責任を全うするのが経営者のあるべき姿だ」
三月十四日、大阪市内で退任の記者会見をしたシャープの片山幹雄社長は、「引責辞任か」と記者に問われ、気色ばんでこう反論した。だがその声にはあまりにも張りがなく、表情も疲れ果てた様子だった。
二〇〇七年、町田勝彦会長の指名で四十九歳で社長に抜擢され、薄型テレビ「AQUOS(アクオス)」の液晶パネル投資に邁進した片山氏。薄型テレビの価格競争で韓国・台湾メーカーに敗れ、過剰投資のツケで一二年三月期に二千九百億円の最終赤字に陥った「シャープのプリンス」の最後の姿だ。 この「山更迭劇」からわずか二週間後の三月二十七日、シャープは世界最大手の電子機器受託製造企業である台湾・鴻海精密工業を中核とする鴻海グループとの資本業務提携を発表した。約六百七十億円もの第三者割当増資を引き受ける鴻海は、約一〇%の出資比率を握る筆頭株主となったのだ。さらに「金看板」堺工場の一部も譲渡された。
「シャープの解体、切り売りが始まった・・・