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経済

「普通の会社」に成り下がったホンダ

世界を驚かす車が作れなくなった

2012年4月号

 盛り返すゼネラルモーターズ(GM)やユーロ安を追い風に伸びるフォルクスワーゲン(VW)、昇り龍の勢いの韓国・現代自動車に押され、精彩を欠く日本の自動車メーカー。その中でも最も存在感が薄れているのがホンダだろう。一九七〇年代初頭、CVCCエンジンを開発し、達成は不可能といわれた米マスキー法の排ガス基準をクリアし、「シビック」、八〇年代の「シティ」、九〇年代の「オデッセイ」といった時代を画す車を世に送り出した技術力と独自性はすっかり影を潜めた。ホンダはいったいどうしてしまったのか?

企業の保守化、官僚化が進んだ

 今、世界の自動車産業では生産分野で「車台共通化」と「モジュール化」という二つの大きな波が起きている。車台はプラットフォームやアンダーボディとも呼ばれる、いわば車の骨格だ。かつては車種ごとに車台を作っていたが、開発時間の短縮、金型や治具の削減などのために車台を車体サイズごとにできるだけ共通化し、上に乗るボディやエンジン、サスペンションなどを換えるだけで多様な車種を作る方式が広がった。  デザイン面ではメーカーがお互いに他社の売れ筋車を・・・