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政治

「人事院改革」は画餅に終わる

意味のない「総裁更迭」

2012年4月号

「人事官の任命については、その中の二人が、同一政党に属し、又は同一の大学学部を卒業した者となることとなってはならない」  国家公務員法第五条五項にこんな奇妙な条文がある。人事官とは人事院を構成する三人の特別職国家公務員でこのうち一人が総裁となる。内閣によって任命される天皇認証官であり、裁判官と同様に欠格条項に該当しない限り、国会の弾劾裁判を経なければ任期中に罷免されることはない。この条文は、東京大学法学部への偏重を防ぐために設けられたとされるが、それほど「中立性」が求められる役職であることの証しといえる。

変わらぬ「官僚機構の砦」

 政府は四月七日に任期満了を迎える人事院総裁、江利川毅を退任させ、後任にJR東海出身の人事官、原恒雄を総裁に昇格させる。民間出身の総裁は、法学者で一九四八年の人事院発足から六一年まで務めた、浅井清以来だ。 「総裁に民間の感覚を有する方にご就任いただき、新たな体制とすることが適当と考え、江利川さんについては再任しない」  官房長官の藤村修は三月二十三日の記者会見で江利川を事実上「更迭」した理由をこう説明・・・