アラブ民族の「悲しき性」
見渡せば「分裂国家」だらけ
2012年4月号
外交の世界では、アラブの会議が結局物別れに終わる様を評して、「今回もまた、一致しないことで一致したようだ」と言うことがある。それは個人のレベルでも、また国家のレベルでも様々な意見と立場を主張してまとまることのないアラブ人の行動様式を言い得て妙である。
バラバラでまとまりがない、というこの集団の性質は、個々の能力は優れているのに、国技であるサッカーも含めて、およそ集団競技の世界でメダルを取ったためしがない、というアラブのスポーツ面での弱さから、軍隊の弱さに至るまで顕著に見て取れる。また実際この人たちと付き合っていると、実に自由気まま、我が道を行くという風情である。おそらくそれはDNAのレベルから仕組まれている神様のいたずらに違いない。
ただ、「一致しないことで一致」している間というのは、彼らの間に不思議な力関係が働き、奇妙な調和が保たれている、束の間の幸運な状態、でもある。なぜならこの集団は時として大きな混乱に向かって舵を切るからだ。
この一年、我々はエジプトで、またイエメンでと独裁体制の打倒をスローガンに百万人単位のデモが起きる様を目の当たりにした。「一致しな・・・