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社会・文化

税金泥棒「行政委員」の実態

「利権」と化した名誉職

2012年3月号

お手盛りバンザイ判決――思わずそう揶揄したくなるような判決が、昨年末、最高裁判所で言い渡された。  地方自治体における非常勤の行政委員に対し、月額で報酬が払われていることの是非をめぐって争われた住民訴訟で、最高裁第一小法廷(横田尤孝裁判長)は昨年十二月十五日、「月額支給に違法性はない」として住民側敗訴の判決を下した。一審大津地裁、二審大阪高裁は「月額支給を定めた条例は違法であり、日額を採用するべきだ」(趣旨)と住民側の勝訴だったが、最高裁がこれをひっくり返したわけだ。 〈一回三十分、月に数回の勤務に対し、月額数十万円の報酬を支払うことに問題はない〉(趣旨)  それが判事五人全員一致で出した結論だった。まさか、と多くの人が驚いたに違いない。「無駄な経費を節減しようとする行政の流れに水をさす、歴史に逆行する判決である」(原告の吉原稔弁護士)というのが、一般国民の偽らざる本音であろう。  国民の監視の目をかいくぐり、ぬくぬくと貴重な血税で私腹を肥やす――。その「お手盛り」報酬に最高裁がお墨付きを与えた行政委員とは、「利権」と化した不届きな名誉職以外の何物でもない。 ・・・