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経済

沈みゆくホンダのインド事業

苦肉の二輪四輪統合計画にも暗雲

2012年3月号

二〇一〇年十二月号で本誌がいち早く異変を報じた「ホンダのインド二輪合弁解消」。二十七年間続けてきたヒーロー財閥との合弁関係の解消を発表し、ホンダ傘下の二輪事業としては最大の子会社で、世界シェア一割を握る「ヒーローホンダ」を捨て、独資のホンダ・モーターサイクル&スクーター・インディア(HMSI)に二輪事業を集約させて再出発した。だが、ホンダ経営陣にとって「シェア奪回の自信」を意味したはずの選択に、ホンダは大いに苦しめられている。自らが作り上げた「怪物」の始末は容易ではなく、急拡大を伴う二輪事業に暗雲が垂れこめた末、ついには「崩壊寸前の四輪事業との統合案」まで浮上、いよいよホンダのインド事業が混迷を極めている。

最大の難敵はかつての盟友

 合弁を解消し、一〇〇%独資で二輪事業を立て直しているホンダ。その鼻息は荒く、インド南部バンガロール近郊に建設中の年産百二十万台の第三工場が完成する来年前半には、総生産能力は四百万台となる。さらに「二〇二〇年まで一千万台、シェア三〇%を目指す」(伊東孝紳社長)との目標も掲げる。今期の同社世界販売台数が一千二百六十六万・・・