《企業研究》三井不動産
「液状化訴訟」で露呈したもの
2012年3月号
「売ったら終わり。こんな誠意のない会社はない」。原告団の一人はこう怒りをぶつける。
二月初旬。東日本大震災で液状化被害に見舞われた千葉県浦安市の住民三十二人が、分譲住宅地を開発・販売した三井不動産と住宅事業子会社、三井不動産レジデンシャルを相手どり、東京地方裁判所に総額七億円の損害賠償を求める民事訴訟提起に踏み切った。浦安での液状化被害を巡っては、一戸建て住宅が全壊した夫婦が昨年十月、杜撰な設計や施工で被害が大きくなったとして積水ハウスを訴えた(=損害賠償請求額約一千八百五十万円)のを皮切りに三例目だが、三十人超にものぼる原告団を形成しての集団提訴は初めて。今後、訴訟参加者はさらに増える見込みで、「東京湾岸開発」に名を借りて三井不動産が繰り広げてきたとされる数々の“悪行”のツケが、一気に噴き出した格好だ。
問われる「あこぎな商法」
訴えを起こしたのは三井不が一九八一年から販売を開始した「パークシティ・タウンハウス・」の住民ら。市内で震度五強を記録した地震で、敷地から・・・