三菱電機「防衛部門」の闇
水増し請求事件の深層
2012年3月号
一月三十一日午前、防衛省の武器購入を担当する装備施設本部の職員二十人が三菱電機鎌倉製作所に入った。「屈辱です」と同社幹部。二〇〇九年度に受注した「03式中距離地対空誘導ミサイル(中SAM)」の設計に防衛省への水増し請求があったことが分かり、立ち入り調査が行われた。防衛省は同社を指名停止にした。
ほかにも内閣衛星情報センターから約二千四百億円で受注した情報収集衛星の製造に水増し請求があったことが判明した。いずれも作業員数と労働時間を掛け合わせた「工数」と呼ばれる単位をごまかし、不正に増額したカネを受け取っていた。不正受給した分の返還を求めるべく、防衛省や内閣府で調査を進めている。
三菱電機は、一一年九月中間連結決算の純利益が六百九十五億円に上り、大手電機八社のうち、純損益が黒字だった四社の中で最高額を記録した。パナソニック、シャープなど四社が赤字転落する中で堅調ぶりが際立った。同幹部は「東日本大震災の被害もある中、社内では『よく頑張った』との声が広がったものです。それがこんな事態になるとは……」と話す。